ブログ内検索

2014/07/08

Blues/R&B【076】LEADBELLY "Julianne Johnson"/リードベリー 「ジュリアン・ジョンソン」【1940】

【曲名】"Julianne Johnson"/「ジュリアン・ジョンソン」【1940年】
【アーティスト】LEADBELLY/リードベリー(レッドベリー)
【収録アルバム】ベスト盤など


今回から25回連続でギター・ブルースを紹介いたします。

ブルース・ギターというと、マディ・ウォーターズ【過去記事】/ハウリン・ウルフ【過去記事】のようなシカゴ系モダン・ブルーズ、あるいはB.B.キングのような限りなくロックに接近したモダン・ブルーズ、そしてエリック・クラプトンのようなブルーズに影響を受けた白人ギタリストが思い浮かぶかもしれません。ストーンズのようなブリティッシュ系ロック・バンドが好きで、彼らのルーツを辿るとマディらシカゴ系モダン・ブルースに辿り着きます。私個人もかつてはそうでした。

ですが、以上のようなブルース・ギター観は全くもって不完全なものであることに気がつきます。1950年代/1960年代以降のエレクトリック・ギターを使用したブルーズは、ギター・ブルーズの発展型のひとつに過ぎません。あくまでも類型のひとつに過ぎず、ギター・ブルーズ本来のスタイルとはかけ離れたものと言うべきかもしれません。

ブルーズは、奴隷としてアフリカ大陸から連れてこられた黒人たちが、プランテーション農場などで過酷な労働を強いられていた中で誕生した労働歌【ワークソング】、黒人専用の教会で歌われた教会音楽【ゴスペル】などを基とし、黒人特有のリズム感によって産み出されたと考えられております。

ゴスペルは主にイエス・キリストを歌詞の題材にしておりますが、ブルーズは異なります。日々の喜怒哀楽を歌います。語源であるBlueが憂鬱を意味するので、喜怒哀楽のうち「哀」のみがテーマと思われがちですが、恋人に対する想いを歌うポジティヴな曲も多数存在します。

ブルーズが誕生し広まったのは米国南部地域。貧しい黒人たちにとってはピアノのような高価な楽器に触れる機会はほとんどなし。安価なギター/バンジョーが伴奏に使われました。これがブルーズとギターが結びついた理由です。白人たちがギターを使って演奏していたカントリー・ミュージックと黒人独自のリズム感が融合し、ギター・ブルーズは誕生しました。

第二次大戦前/戦中/戦後まもなくの時期に録音されたギター・ブルーズを聴けば、ブルーズに対する印象が大きく変わるはずです。”本物のブルーズ”は、マディ・ウォータズでもB.B.キングでもクラプトンでもなく、ギターによるカントリ・ブルーズであるとご理解いただけるはず。

ちなみにこれまでにも既にギターによるカントリー・ブルーズを何曲か紹介したことがあります。

Blues/R&B【007】Robert Johnson "Sweet Home Chicago"/ロバート・ジョンソン 「スウィート・ホーム・シカゴ」【1936】
Blues/R&B【017】Son House "Death Letter"/サン・ハウス 「デス・レター」
Blues/R&B【044】Big Bill Broonzy "Guitar Shuffle"/ビッグ・ビル・ブルーンジー 「ギター・シャッフル」
Blues/R&B【060】Sylvester Weaver "Guitar Rag"/シルヴェスター・ウィーバー 「ギター・ラグ」【1923】

25回連続でギター・ブルースを紹介すると申し上げましたが、今回のみ例外的にブルーズの初期形式であるワークソング【労働歌】/チェインギャング【Chain Gang/鎖で繋がれて使役された囚人たちが労働中に歌った労働歌】形式の曲を紹介します。




もの凄い粘り気のある曲。ヴォーカルのみで同じフレーズを繰り返すのみなのですが、とんでもないグルーヴを感じます。

これはチェイン・ギャング形式ですが、リードベリー(レッドベリー表記の場合もあり)は、トラブル体質の人物で何度か刑務所に入っています。親戚を殺害し、殺人罪で入獄したこともあったとか。ですので、実際に刑務所で鎖で繋がれチェイン・ギャングを唄っていたものと思われます。

現在ブラック・ミュージックは世界中で人気ですが、Hip-Hopも元をたどれば、労働歌/チェインギャング/教会音楽(ゴスペル)に辿り着きます。そこからブルース/ジャズが生まれ、R&B/ソウル・ミュージックへと発展していったことになります。

Wikipedia:LEADBELLYリードベリー



0 件のコメント :

コメントを投稿